Q:ホテルのコンセプトを教えてください。
南:“ホテルとキャンプのハイブリッド”です。
ホテルをつくるにあたってこだわったのは、「どんな体験であれば、一番私たちの記憶に残っていくか」でした。
例えば、旅館という場所は、日本が誇る「おもてなし」で、最高のサービスを受けられます。美味しい料理もあれば、温泉などもあり、最高にリラックスした体験が期待できます。ただ、いくつもの旅館に泊まると、料理やサービスにそれほどの違いもありませんので、2,3年経つと、どこでどんなサービスを受けたかもわからなくなってしまうのです。
それは、私がホテルで提供したい、「記憶に残る体験」とは違う気がしました。そこまで快適でなくても構わないから、もっと泊まるお客様に刺激を与えたい。
そこでたどり着いたのは、「キャンプ」の発想でした。
よくも悪くも、キャンプの体験は記憶に残ります。現地に行く途中に買い出しして、ついたらテントを建てて、料理の下ごしらえをして。仲間や家族と大自然の中で戯れて、気がついたらあっという間に夕食の時間...
「ご飯は焦げてしまったけど、それでも美味しかった」
これがキャンプの醍醐味でもあるわけです。
それは、受け身でサービスをしてもらうのではなく、自分たちで一緒に体を動かして何かするからこそ得られる体験です。
ただ、キャンプというのは、必ずしも「いい体験」と認識されるわけではありません。体を動かして疲れる上、気候によっては寒かったり、暑かったり。
隣のテントがうるさかったり、虫が入ってきたりで、まったく眠れなかった...ということにもなれば、疲れだけが残り、帰りの車の中でぐったり。そんな人も出てくるでしょう。
ならば、ホテルとキャンプの良いところを、かけ合わせたら最高ではないか。
ホテルにいながら、自然の中で生活する醍醐味を味わうことができるホテル、それがアブラサスホテルです。